マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏が、検索エンジン市場における急速な変化と、Bingが今後どのような戦略で勝ち残っていくかについて語りました。
Bingが提供する、ChatGPTを取り入れた新しい検索エンジンの特徴や、検索結果における人工知能技術の活用についても触れています。
Googleは検索業界における800ポンドのゴリラ!
インタビューの中でナデラCEOはGoogleを「800ポンドのゴリラ」と表現しました。
これは、Googleがオンライン検索市場の支配的な立場にあることを指しています。
ナデラCEOは、Googleがオンライン広告市場での圧倒的な支配力を持っていること、そしてその支配力が競合他社の成長を妨げている、とも批判しています。
ナデラ氏は、この「圧倒的なGoogleの支配的な地位に挑戦するため」に、マイクロソフトがAI技術を活用し、Bing事業に重点を置くことを決定したと述べています。
具体的には、BingはAIによって検索クエリーの意図をより正確に理解し、より多様な情報源から検索結果を表示するようになりました。
例えば、検索結果ページには、AIが回答する際に情報源となったURLが整理されたカード形式で表示されることがあります。
この件について、質問者はナデラ氏に「AIを搭載した検索結果ページだけでユーザーに満足感を与えてしまった場合、出版社やクリエイターはどのようにして収益を得られるようになるのか」という問題を提起し、ナデラ氏は以下のように回答しています。
「私たちは、出版社やクリエイターが自分たちのコンテンツを効果的にマーケティングする方法を模索しています。Bingの検索結果ページを見ると、いくつかのコンテンツがプロモートされています。これは、私たちがコンテンツを発見しやすくするために行っていることです。また、ユーザーが関心を持つ可能性のあるコンテンツを見つけるために、検索結果ページに多くの情報を提供するよう取り組んでいます。」
つまりナデラ氏は、AIを活用して、検索結果ページをユーザーに最適なコンテンツとすることに注力しつつも、出版社やクリエイターが広告やプロモーションを通じてきちんと収益を得られるように取り組んでいる、ということです。
続けて、ナデラ氏は「多くの人々がGoogleに勝つということに焦点を当てています。しかし、私たちの目的は、競争ではなく、顧客を満足させることです。顧客には、自分たちが求めている情報を見つけ、また、その情報を作成した人々に公正な報酬が支払われることを望んでいます」と答えたとのこと。
ナデラ氏がBingの目的は「Googleを打ち負かすこと」ではなく、顧客に価値を提供することにあると考えていることがわかります。
ただし、BingがGoogleに比べてまだ市場規模が小さいため、出版社やクリエイターによる支援も必要だ、とも述べています。
「検索事業は、マイクロソフト社全体からするとわずかな部分ではありますが、我々にとって非常に重要な分野です」と語ったナデラ氏とマイクロソフト社が、Bingを中心とした検索事業に強力に注力している様子がわかりますね。
Googleが圧倒的なシェアを持っている検索市場に変化が起きようとしていることは間違いないようです。